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山口ちはるプロデュース「粛々と運針」上演にあたり、脚本の横山拓也さん、演出の倉本朋幸さん、出演の坂元新さん、プロデューサー山口ちはるで対談を行いました。

(進行:藤井美緒)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山口:本日はありがとうございます。いろいろお話が出来たらと思いますので宜しくお願いします。

 

藤井:今日、横山さんと坂元さんは初めてお話をされると伺っているのですが、お二人の接点はありますか?

 

横山:15年位前に、僕が原作を書かせてもらった映画に坂元さんが出演されていて。

 

坂元:そうですね。

 

藤井:その時にお会いしたりとかは?

 

横山:僕はそんなに俳優さんと関わることはなくて、原作者として撮影を見学させてももらったくらいなので…。すれ違ってはいますよね。坂元さんが演技している姿とかは見ていますけどね。

 

倉本:もともとその映画は戯曲だったんですか?

 

横山:45分くらいの戯曲でした。まぁでも結局映画も60分くらいだったと思いますね。

 

坂元:懐かしいですね。思い出した。

 

山口:横山さんは「明日もう君に会えない」(山口ちはるプロデュース、倉本朋幸作・演出)という作品を見に来て頂いて。

              

横山:舞台に水を張っていて、とても印象的な演出でした。

 

山口:ありがとうございます。私は以前、横山さんの作品を見させていただいて。ちょっと呼吸困難になるくらい泣いて、もう感動しちゃって。それでいつかご一緒できたらいいなと思っていて。そういうスタートでやらせて頂いてるんですけど。

 

藤井:お互いに会ってみて、印象みたいなものは何かありますか?

 

倉本:そんなタレントさんみたいな(笑)。

 

横山:でも僕、倉本さん、こんな豪快な方だと思ってませんでした。

 

山口:よく言われるっていうかね。

 

横山:いやいや、意外でした。

 

倉本:僕、よく言われるんですよ。作ってるものと、全然印象が違うって言われて。

 

横山:でも演出家としては頼もしいでしょうね。稽古場で強そう、いろんな意味で、パワー。

 

倉本:それだけでやってますから。それ以外は全然ダメな、もう勢いだけでやってる。

 

横山:なるほど(笑)。

 

 

 

●「粛々と運針」出発点

 

山口:作品についても聞いていけたらと思うんですが、倉本さん、なにかあります?

 

倉本:僕、聞きたいこといっぱいあります。これって、どういう出発点だったんですか?この作品を書くにあたって。

 

横山:えっとですね…。僕そもそも、いわゆるワンシチュエーションで暗転も全く挟まないようなお芝居ばっかり作っていたんですけど、それに疑問を感じて。演劇的な面白さを放棄しているんじゃないかって思って。

時間も場所も飛ばせるような、演劇的構造をぐちゃぐちゃに出来るような、でも自分の持ち味みたいなものを出せるような、そういうのを実験的にやってみたいなと。だから会場も初演は新宿眼科画廊でやって、実験的にやってみようと思ったんですね。まず、スタートはそこからで。

いつもそうなんですけど内容自体は、その時にメモしているものとか、興味があったものを結合させて。だからこの作品にある夫婦やその子供のことを描きたかったとか、母親を看取る所を描きたかったとか、そんな動機はほとんどなくて。まず設える、演劇的構造からやってみたいと思ったのが正直なところです。

 

倉本:え、ホントの話って事ではないんですか。ぜんぜんフィクション?

 

横山:フィクションですね。でも、もちろん取材させて貰った人もいます。特に沙都子っていう役の女性のエピソードはいろんな人からかき集めて。だから上演後は「私この話したっけ?」みたいなことをいろんな女の人から言われて。

 

倉本:僕、ホントの話かなって思っちゃうくらいで。演出、稽古させてもらえばもらうほどすごいなって。

 

横山:関西弁のままでやられてるんですか?

 

山口:はい、関西弁のままです。でもいろいろ…(笑)。

 

倉本:関西人じゃない子たちに関西弁をやってもらってるんですけど、結構難しくて。

 

横山:そうなんですよね。

 

倉本:それが今課題でもあるなーっていう。

 

山口:坂元さんの方はね、兄弟のお兄ちゃん役。

 

坂元:そうそう。僕はストレートに、今は台本のままやってるって感じですね。まだこれからどう肉付けするかわからないんですけど、逆にストレートにやれるお芝居っていうか。

 

横山:コンビニでフリーターを23年続けているお兄ちゃんっていう設定は面白いなって思っていて。

 

倉本:ぴったりですよね。

 

坂元:まだ、あんま、なんもしてない(笑)。言われるまま。

 

横山:みんな、登場人物全員が自分の正当性をどう通すかっていうことを行っていて。誰も悪いことを言っていないというか、誰も悪い人がいなくて、正義のぶつけ合いみたいなので議論が起きていて。そういうことを作品の中に持ち込むのが自分のよく使うスタイルなんですけど、それが二つ描けたんですよね。演劇の構造を変えることで二つ持ちこんで、さらに謎めいた人物設定も設けて。ちょっと自分的にはチャレンジして、それなりの手ごたえを当時掴んだ作品ではありました。

●舞台上にあるのは椅子だけ

倉本:どうやったんですか。ト書き通りずっと椅子に座ったままやったんですか?

 

横山:そうですね。もう、全員出ずっぱりで。基本的に座ってるんですけど、

演技する人が舞台中央に出てきて演技して、座ってみたいなのをずっと繰り返していました。

 

倉本:じゃあ、俳優さんは話しているときに立ったり座ったりというリアリティみたいなものは、ある程度あった中でお芝居をしたってことなんですね。

 

横山:でも、抽象舞台でしたね。普段は結構、具象でやってたんですけど。あの芝居の時は抽象にして、椅子だけ置いて。どうしても途中で空間が歪むので、どうとでもなるような空間でやってましたね。

 

山口:今回その時間が飛んだりするっていうので、結構倉本さんはそういう作品を作ることが多いですよね。

 

倉本:そうそう。僕はもともと演出家というか、書く方じゃなかったというか。今も書くのより、演出する方が好きなんです。しょうがなく書いてるみたいな、僕の場合はですよ。もともとの始まりが演出だから、やっぱりこうやって横山さんの本をやらせてもらうっていうのは、すごく光栄というか。

 

横山:いやいや、ありがとうございます

 

倉本:時間を飛ばすのはすごく好きで。ただこの作品、本当に難しいというか。完成されているし、面白いじゃないですか。だからもう余計な、僕が入る隙間がなかなかなくて。いやこれは悪い意味ではなくて、僕には珍しいくらい悶々としてるっていうか、ずっと考えてます。無責任な言い方すると、僕は演出家なんで外の仕事とかだと本読まないんですよ絶対。稽古場で作るっていう風に決めてて。今回めちゃめちゃ読んでる。死んじゃうくらい。

本当の話なのかなってぐらいに何かすごい説得力がありますよね。どうやって書かれるんですか、もともと構成から書かれるんですか。

 

横山:いやでもその時々ですよね。でもたぶん、台詞は結構慎重に書いているところはあって。リアリズムみたいなことを言われるんですけど、意外に台詞自体はそんなにリアルじゃなくて、それは俳優の力でリアルにしてもらってるんですけど。

 

倉本:だから俳優さんの力が試されるところはありますよね。

 

坂元:結構難しいですね。自分の言葉というか役の言葉にならないと、そこまでちゃんと喋るっていうのが出来ないと、なんかこれ冷めるなーって思って。

 

横山:そう、だからそこに持ち上がっている問題を自分事にしてもらって語っていかないと他人事になっていっちゃう。

 

倉本:難しいんですよ、面白い分。何を喋っているかシンプルに分からないと、他人事になって。間にある嘘みたいなものが俳優同士に生まれた瞬間、観ていられなくなるっていうか。

 

横山:集中力がめちゃめちゃいる。

 

倉本:リアルだったり、家具があったりで誤魔化せるじゃないですか。お茶を飲んだりとか。つまらない時間にさせないような工夫があるんですけど、今回それがもう絶対起きえないから。

どうだったんですか稽古とか。やっぱり大変なのか、意外とすんなりなんですか?

 

横山:でも、何か物にまみれられないっていうのは、多少苦しみはあったかもしれないです。結構ストイックにやりましたね。

 

倉本:そう、だから僕、最初はト書き通りに椅子に座っただけでこれいけんじゃないかって、甘い空想を抱いていて。でも稽古をしてみたらもう坂元ちゃんと田中(穂先)君、っていう子がやる場面は結構面白かったんですけど、ほかの場面はマジで面白くなくて。で、これやばいなって。どうストイックにしていくか、結構戦いがありますね。

 

横山:難しいですね。僕がこんなこと言うのアレですけど、俳優が観客に何か情報を与えて行こうとすると、実はあまりうまくいかなくて。たぶん中で起きてることを見抜いていくように、お客さんが見抜きたいなって思うようにしていかないと、求心力が続かない。

 

倉本:絶対そうですよね、しかもある程度の尺感があるじゃないですかやっぱり。

 

横山:前半長いですもんね。中盤からはたぶん勢いで行けるんですけど、そこまでどうやって見せていくかっていうのは結構大変です。

 

倉本:いやぁ、大変なんですよ。最初僕、本が面白かったから「あぁいいじゃんやりたい」ってなったんですけど、いざやるとマジで大変で。

 

山口:そうですね、本当に。

 

倉本:ト書きっていうか感想みたいなの書いてるじゃないですか、間に。

 

横山:あっはっは

 

倉本:あれめっちゃ面白いですよね。「○○みたいだ」みたいな、感想っていうか、間にある気持ちが書かれていて。それがちゃんとね、俳優二人がうまいことやるとそこにちゃんとそのト書きの言葉が乗っかるんですよ。

 

横山:いやぁ、それはね、無自覚というか、演出しながら書いちゃったかもしれないですね。

 

倉本:あれめちゃめちゃ面白いです。もう見えますもん。芝居がうまくいったとき、間にそのト書きっていうか感想っていうか、感想って言い方あれですけど、横山さんのメッセージみたいなものがスーって風みたいに漂ってて。めちゃくちゃそれ今日言いたくて。

 

藤井:今回この戯曲が上演されることになったとき、どう思われましたか。

 

横山:僕は倉本さんと逆で自分は劇作家だと思っているので、いろんな方に演出やっていただくってことは純粋に楽しみです。「粛々と運針」は外でやってもらうのは初めてだと思うんですけど、そういう意味では単純に期待をっていうか。

 

倉本:だからそういうねぇ、プレッシャーとかもあって。

 

山口:本当は昨年の6月くらいに上演させて頂く予定だったんですけどコロナでなくなって。でも、春のちょうどいい季節に上演させて頂けるっていうのでね、嬉しい限りですよね。

 

 

 

 

●嘘がない言葉まで練り上げたい

 

藤井:坂元さん、今回演じられてみてどうですか。

 

坂元:僕としては、演出、本、キャスト、スタッフ、全部含めて結構いいと思うんですよ!だから任せるじゃないけど、僕は飛び込んで、ホントにもう、緊張せず、いい緊張をもったまま舞台に立つっていう、本番まで自分をどうやって持って行くかっていう、勝負で。稽古でいろいろ、まぁボロボロだったりするんですけど。ただそれをもう練り上げて、本番にぽっとこう出れるっていうのが僕は勝負なので。そこはもう自分自身、孤独ですけど、相方の穂先くんといっしょに作り上げていこうかなって思っています。

 

山口:横山さんに見て頂いた「明日もう君に会えない」っていう作品の主演が田中怜子さんていう女優さんなんですけど、初めてですよね?

 

横山:そうですね、初めて拝見するかもしれないですね。色々僕も見ているので、出てらっしゃるかもしれないんですけど。

 

倉本:梅舟(惟永)がすごいiakuのファンで。

 

横山:えー、ホントですか?

 

倉本:もうほとんど見てるみたいで。

 

横山:えー!それは意外ですね。

 

倉本:すごく好きで。

 

藤井:坂元さんは演じる上で気を付けていることってあるんですか?

 

坂元:そうですね、嘘がないようにしたいですね。嘘じゃないっていうのをどう捉えるかなんですけど。俳優としては、喋るっていうことが結構重要で。喋ったときに、文字になってちゃいけない、言葉になってないといけなくて。今回のこの会話劇っていうのは、文字になんないっていうか、ちゃんと噛み砕いた、言われた後に言う、しゃべるっていう事を気を付けて、そこまで練り上げたいです。普段全然喋れてないんですけどね(笑)。

 

倉本:それでいいんだよね。不思議だよね、芝居だとすごいちゃんと喋るのに。

 

坂元:結構僕稽古で緊張しちゃって。

 

 

 

●脚本、どうやって書く?

 

倉本:「粛々と運針」に関してはどっちだったんですか。セリフから書かれたのか、構成を全部決めてから書かれたのか、それともある程度同時進行だったんですか。

 

横山:どうやって書いたんですかね…。でも少なくとも夫婦と兄弟の話を二つ用意して。尊厳死を望んでいる母親のいる兄弟と、望まない妊娠をしてしまった夫婦を描くことでそれぞれの生まれくる命と、消失するかもしれない命、命との距離感の見つめ方みたいなのは書こうっていうのはスタートの時はあったとは思いますけど。ラストのほうなんかは書きながらですね。そんなにオチがビシッと利いてるわけでもないですし、このラストシーンに向けてってことは全然考えなくて、やっぱりこの議論が重なったときに何が起こるのかなって。そういうことを楽しみながら書きましたね。

 

倉本:どこで書くんですか?家とか、カフェとかですか。

 

横山:僕、図書館で書きます。

 

倉本:えー!

 

横山:朝の10時に行ってパソコン席を取って、夕方6時まで書くんです。

 

倉本:朝やっぱりいいですよね。稽古がないときは、毎日書くんですか?

 

横山:そうですね。稽古がない時で執筆しなきゃいけない時は基本図書館に朝出掛けて行きます。

 

倉本:さっきも言ったんですけど、僕、演出家っていう意思が強くて。書くって、外の仕事なんかは特に書かされてるみたいな感覚になるんですよ。バイトしてるみたいな感じに近い。横山さんは書くことは好きですか。

 

横山:いや、全然好きじゃない。言い方おかしいですけど、めちゃくちゃ苦しんでますし。

 

倉本:やっぱり苦しんでるんですね。この言葉たちはやっぱり苦しんで。

 

横山:もちろんですよね。朝から8時間座ってて、3行しか書けなかったとか全然ありますよ、フフフ。

 

倉本:えー! 

 

藤井:それを打破する方法とかってあるんですか?

 

横山:図書館のいいところは、いくらでもうろうろ出来るんですよね。背表紙の旅というか。あと全然関係ない見たことない業界紙とかの雑誌とかを1ページ開いてみたりとか。文字でヒントを得られることが、度々あるので。図書館はそういうところと、散歩できるところと、静かなところが良いですね。あと人に見張られてる感じがする。自分の家で書けないので。

                                               

 

●内包される家族の在り方

 

倉本:この作品って今の家族の在り方みたいなものが書かれてる感じがするんですよね。今回の作品に出てくる兄弟のシーンで描かれる、高齢者、これから死にゆく家族とか、いま壊れ行く家族体系っていうか。そういうものは、もう横山さんの中にあるものなんですかね。意識的にいれているわけじゃないっていうか。

 

横山:すごくステレオタイプの家族を描くときもありますし、現代的な家族を描くときもあるので、それは作品の主題みたいなところに合わせて設定していきます。僕はすごくオーソドックスな家庭で育っているし、自分とこの家族も普通の家族だと思っているので、何か自分の体験を切り売りしている感じはしてないですし。もちろん部分的には僕は男兄弟なので、築野家のあの二人兄弟は、僕、弟、の関係性になぞえてる部分はありますね。全部が全部ってわけでもないですが。

 

倉本:お子さんいらっしゃるんですか?

 

横山:はい、子どもいますよ。

 

倉本:それは、すんなり生まれたんですか?

 

横山:すんなり生まれました。

 

倉本:あー!騙されたー! 

 

山口:もしかしたらいらっしゃらないのかと思ってました。

 

倉本:ねー、いろいろあったのかなとか。いや、だから騙されたなって。

 

横山:巧みに書いたってことですね(笑)。

 

倉本:自分で映画撮ったときとか、映画祭とかで、プロデューサーから日本のホームドラマの在り方について聞いたことがあって。是枝さんとか、その前からいろんなテレビドラマの方々が築かれた日本のホームドラマ性と、横山さんが書かれている今のホームドラマが重なって自分はしっくりきているというか。だから「歩いても 歩いても」っていう是枝さんの映画を皆に絶対見てって言ったんですけど。そういうのは横山さんは意識されてる、横山さんから出てきたものなのかなって、それがすごい面白いなって思っていて。

 

横山:でも僕はものすごく映画を見るわけではないですし、うーん、なんなんでしょうね。でも山田太一さんとか好きですね

 

倉本:あぁ!やっぱりそういうのあるんですね。山田太一さんだったり、そういうことですよね。

 

横山:まぁ、模倣しようって思いは全くないんですけど。でも、なんとなく読後感みたいなもので、やっぱり感じるものがあるので。そこは創作者としては何か目指すとこなのかもしれないですよね。

 

倉本:こういうコロナ禍において余計にですけど、家族の在り方とかそういう事を世界が考えざるを得ない空気感っていうか、そういう中でこの作品と向き合っていくときに、それをすごい感じるんですよね。

 

横山:これ2017年が初演だったんですけど、4年前に書いたものが今の倉本さんの演出の感覚で、どんな風に思われているのかなって気になります。

 

倉本:それが自分の中ではあるんですけど、それがなかなかね、形にならなくて。もう悶え苦しんでるっていうか。僕は家族っていうもので描きたいと思っていて、それがまぁ突飛な捉え方であろうが何であろうが、やりたいなとは思っているんですけど。やっぱりこの作品には不在が書かれている気がしていて。兄弟のお父さんだったり、それがあの家にいるっていうか、そういうことがコロナってこともふまえて描けたら面白いのかなって。

 

 

●なぜ劇作家に?

 

倉本:どうして劇作家になろうと思われたんですか?その…いいですかこんな話。僕、めっちゃ聞きたいんですよね。

 

横山:まぁでも大した話じゃないんですけど、ほんとに。

 

倉本:どういうアレだったんですか?

 

横山:僕は高校も普通科で演劇部でもなかったんですけど、ただ文章を書くことが好きで、こっそり小説書いたりとか、学級日誌に連載小説書いて人が見てるのをにやにやしたりしていて。

 

倉本:へぇ、すごく素敵ですね。

 

横山:たまたま僕と同じ学年に大阪芸大志望の人が多くて、なんか文芸学科っていうのもあるらしいって聞いて。そのときは演劇とかじゃなくて小説とか書こうかなって思って文芸学科に進学しました。そうしたら、同じ高校で舞台芸術学科に進んだ奴が「台本書いて」って言って来たんで大学1年の時に何も知らずに台本書いて、それ以来ずっと独学でやってます。

 

倉本:あ、じゃあ誰かに習ったってことはないんですか?

 

横山:大学卒業してから1回だけ。北村想さんが兵庫県でやってる、想流私塾っていうのに通いましたけど、1年くらい。それだけですね。

 

倉本:いつ東京に出て来られたんですか?

 

横山:東京は6年前かな。出てきたって言うか、奥さんが自分の親がやってる店を手伝いたいから東京行きたいんだけどってことで、僕はどこで仕事しても一緒だからじゃあ僕も行こうかなみたいな感じでしたね。

 

倉本:それまでは大阪で舞台をやられて?

 

横山:そうです。

 

倉本:それで、たまたま東京出てきてやってるってことなんですね。

 

横山:そうですね。

 

山口:えー!すごーい。

 

倉本:かっこいいなぁ。じゃあ、奥様はもともと大阪にいらっしゃったってことなんですね。

 

横山:大学が一緒で役者だったんですよ。それでやめて。店があるからっていうので一緒に来たって感じで、僕は東京来てからも大阪に月の半分帰って、稽古は大阪でやったりとかしていたので。今でこそ東京で稽古になっちゃったんで、関西弁の芝居作るときは、関西出身の役者を必死で集めたりとか。

 

倉本:ほんといないですよね

 

横山:でも自分が大阪出身なんで、意外と知ってるというか、大阪から来てるやつもいますし。

 

 

 

●関西弁と関西のノリ

 

倉本:僕、高知県出身なんですけど、関西人じゃないんで、あのノリがねぇ、マジで難しいですね。でも山口さんも大阪出身じゃないですか。

 

山口:そうですね。今回の座組の女性陣、梅舟さん以外は全員関西人なんですよ。

 

横山:えー!すごーい!

 

山口:女性と男性で別にそんな言葉自体は変わらないとは思うんですけど、男性の関西弁を私が聞きなれなくなっているのもあるのかな。稽古しててちょっと違和感のようなものがあって、ノリが違うとかあんのかなーって。

 

横山:男の関西弁?

 

山口:そうです。方言のイントネーションみたいなことは伝えられるんですけど、ノリみたいなところっていうのが違うのかなって。

 

倉本:今ね、松井薫平っていう男の子が関西弁を喋る男性役をやってるんですけど、建築現場のおっさんみたいにしかみえなくて(笑)。あいつ建築現場の肉体労働者だよ、ガラが悪くなっちゃうっていう。

 

横山:あー。

 

倉本:ファミレスの店長やってる男に見えたいんですけど、建築現場の男にしかみえないんですよね。

 

山口:なんかたくましい感じになっちゃうんです。だから男性はなんか違うのかなーなんて思いながら。

 

横山:でも妻に対する思いやりで溢れてる役ですからね。

 

山口:そう。温かい人ですよね

 

横山:建築現場の人でももちろん温かいですけど。

 

山口:そうですね。男気ある感じですよね。

 

横山:確かに、そんな男くさいキャラクターではないですよね。でも、それはそういう意味ではどんな風になるのか楽しみです。

 

山口:そうまた違ったね。コロナ禍ではありますが健康に気を付けて、横山さんの作品を上演できるように頑張ります。

   本日は本当にありがとうございました。

 

 

 

 

 

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